私が学びたいことがここにある

入学時から憧れていた海外臨床研修。
診察から手術助手まで積極的にチャレンジした。

入学時から憧れていた1ヶ月の海外臨床研修へ

私は、6年生になる4月に1ヶ月間の海外臨床研修に参加しました。これは、海外の大学病院で医療にフォーカスした実習を行うことができる研修プログラム。入学したときからこの研修のことは知っていたので、ひとつの目標に掲げ、医療の勉強はもちろん、医学英語にも力を入れて勉強をしていました。

研修先はTOEFLの成績と面接で割り振られますが、日頃の英語学習の甲斐もあって第一希望が通り、中央ヨーロッパでも最も歴史があるハンガリーの国立ペーチ大学に決まりました。ヨーロッパを希望したのは、国境を超えた医師の交流も盛んなエリアで患者も多様だと思ったから。医療技術はもちろんですが、医療への向き合い方や診療の方法が日本とどうちがうのかも見てみたいと思っていました。

研修の希望診療科や期間を自由に選ぶことができたところも、ペーチ大学を選んだ理由。私は、外科2週間、消化器内科1週間、小児科1週間をローテーションで回りました。外科では、消化器外科、整形外科、乳腺外科の手術に助手として入らせてもらうことができ、腹腔鏡の操作や縫合を経験することもできました。消化器内科では、回診を一緒にさせていただいたり、胆膵内視鏡という口から入れる内視鏡での検査を見学したり。小児科では、ベッドサイドでの診察をすることができました。

学びのチャンスは、自ら伝えてこそ与えられる

3つの診療科では、日本の大学病院ではなかなかできない貴重な経験をたくさんさせていただきました。しかし、それらはすべて、研修プログラムとして用意されていたものではありません。日本での実習の多くは朝から夕方までスケジュールが決まっていて、それにしたがって動くのがスタンダードなので、ペーチ大学でも先生にスケジュールを訊ねると、「あなたがやりたいことを言ってみて」と、逆に問われてしまったのです。最初は戸惑いましたが、その一言で、自分が動かないとただただ時間が過ぎてしまうということに気づき、そこから研修への取り組み方は大きく変わりました。

外科では手術前のわずかな時間を逃さず、先生に術野に入っていいかどうかを確認しました。すると、先生は快く承諾をしてくれて、手術の内容なども丁寧に教えてくださいました。消化器内科でも小児科でも、診察をしてみたいなど、やってみたいことを伝えると、機会を与えてくださって、実践的な指導をしてもらうことができました。

研修を思い返すと、希望を伝えたからこそ経験できたことばかり。伝えなければ、先生の様子をボーっと見て終わっていたかもしれません。そして、それを誰かに咎められることもなかったと思います。英語で伝えることは勇気が必要でしたが、得られるものを最大限に吸収するために何をしたいかを考え、一歩踏み出すことができて良かったと思っています。

日本とは異なるやり方や、現地の学生たちに刺激を受けて

ペーチ大学では、ヨーロッパの医療についても知ることができました。印象的だったのは、外来での医師と看護師の役割。医師の前にはパソコンはなく、患者さんと向き合って話すことに注力していました。その代わり、看護師が医師の側にいて、カルテを書いたり、検査の補助などをしたり。患者と視線を合わせてコミュニケーションを取ることを大切にしている医師の姿を見て、私もそんなふうに診察をしたいと強く思いました。

カンファレンスにも参加することができたのですが、そこにも日本とのちがいがありました。日本では担当の先生が前に立ちプレゼンをして、そこに他の医師からの意見をもらったり、ディスカッションをしたりします。しかし、ペーチ大学では医師たちが輪になって座り、順番に話をしていくようなやり方。参加者が活発に発言をし合い、他職種を含めて上下関係のないコミュケーションが行われている様子は、非常にオープンでいいなと感じました。

ペーチ大学で学んでいるさまざまな国の医学生たちと、一緒に食事をしたり観光に連れていってもらったり、他愛もない互いの国の話をすることもできました。ハンガリー語が分からず英語で学んでいる学生と、その大変さを分かり合えたことは研修中の励みになりましたし、国はちがっても同じ志を持ち、懸命に学ぶ医学生たちとの交流は、とてもいい刺激になりました。海外研修を経験して、将来のためにもっと英語力やコミュニケーション力をつけたいと思いましたし、海外の医療現場を見ることができたからこそ、医療英語を学ぶ意欲も高まっています。

※記事内容は取材当時のものです。