看護学科だけど医学科の研究室へ!?
看護に関わるテーマで自主的に研究に没頭中

素直な好奇心に導かれた、研究への道
1年の夏から、病体生理学分野の川原玄理先生のもとで研究を行っています。看護学科の私が医学科の研究室に通うようになったきっかけは、「形態機能学」の授業で、川原先生が100匹以上のゼブラフィッシュを使って遺伝子研究をしていると知ったこと。自宅でも熱帯魚を育てていたこともあって興味が膨らみ、研究室を見学させてほしいと思い切って連絡をしました。

はじめは研究をしたいというより、たくさんの魚で研究をしているところを見てみたいというシンプルな気持ちでした。しかし、実際に魚の卵の成長を顕微鏡で見せてもらうと、そこに広がっていたのは、今まで見たことがないミクロな世界。未知なるものに触れた興奮と、もっと見たい、見つけてみたいという気持ちが膨らみ、そこから好奇心の赴くまま、定期的に研究室へ足を運ぶようになりました。

研究テーマは看護に関わりがあるものにしたいと思い、現在は寝たきりの患者さんに見られる廃用症候群(寝たきりになって運動量が落ちてしまうことによって、筋肉が萎縮して歩けなくなってしまう症状)をゼブラフィッシュで再現しながら、筋肉の衰えやその進行スピード、温度変化が筋肉に与える影響についてさまざまな実験や検証を進めています。
研究プロセスによって、論理的思考や探究心が養われた
研究では実験を重ねていきますが、仮説を立ててもその通りにならないことはしばしば。それでも何度もやり直したり、仮説を立て直して再び挑戦したり。根気よく取り組む中で、次第にデータからわずかな手がかりが見えてくると、そのよろこびがさらなる好奇心へと繋がっていきます。そんなふうに、終わりなく続いていく研究に、普段の勉強とはひと味ちがうおもしろさを感じています。

ミクロの世界を突き詰める研究と人を観る看護は、一見、全くちがう分野のように見えます。しかし、2年になって、看護師が患者の状態を把握し、問題を明確化し、計画を立ててケアを行った上で、結果を評価する「看護過程」を学ぶと、そのプロセスや考え方が研究と非常に似ていることに気づきました。観察力や分析力、論理的思考など、研究に取り組む中で次第に身についたものは、看護にも必要なスキルだったのです。

研究によって、患者さんへの向き合い方にも新たな視点が生まれました。それは、「なんとなく」への向き合い方。研究では、わずかな変化に注目し、その根拠を探そうとしますが、実習でも、なんとなく調子悪そう、なんとなく元気なさそうなど、患者さんの小さな変化に気づくことがあります。そういうとき、患者さんの変化に着目し、理由や原因に意識を向けるようになったのも、研究で育まれた思考があるからだと思います。科学的根拠や疾患への理解は、安全な介助をするためにも大事なことです。看護の現場でも、研究で答えを探すように、一歩踏み込んで知ろうとする姿勢を心がけていきたいです。
出会いがあるから世界が広がり、仲間がいるから頑張れる
研究室では、医学科の学生はもちろん、現役の医師など、看護学科で勉強しているだけでは出会えないさまざまな人が訪れます。そこでいろいろな医療の話を聞くことができるのも、研究室に通う醍醐味です。さまざまな人と出会い、知らない分野に触れることで、医療への興味や視野が広がり、学びへのモチベーションも上がります。

また、看護学科は一学年が80人という少人数。チームを組んでグループワークするシーンも多いため、気の合う人だけではなく同期の学生全員と関わりながら、さまざまな技術を練習します。みんなで頑張ろうという気持ちが強いからこそ、困っているところがあれば助け合いますし、わからないところは教え合う。連携し合いながら学びを深め合えるのは、東京医科大学の良さだと実感しています。
看護の勉強は、決して楽ではありません。だからこそ、研究室で出会う方々や、やりたいことを応援してくれる先生、そして、目的に向かって一緒に頑張ることができる仲間の存在が大きな力になります。自分から積極的にいろいろな人と関わり、知らない分野の話にも耳を傾けながら、今、夢に向かって前向きに進んでいるところです。
※記事内容は取材当時のものです。



