対策だけでなく「知る」機会を与えてくれたから、 米国で医師になる夢が今、着実に近づいている。
目標が定まったら計画的に効率的に動き出す
私は昔から、幼い頃に暮らしていたアメリカで仕事ができたらいいなと考えていました。
東京医科大学に入学した頃は、そこまで海外を意識はしていませんでしたが、研修でお世話になった医師の中にも留学していた先生がたくさんいらっしゃることを知ったこと、また長期休暇を使って久しぶりにアメリカを訪れたことによって、子どもの頃からの憧れは現実的な目標に変わりました。
アメリカで医師として働くには、USMLEというアメリカの医師免許が必要です。2つの試験がありますが、そのうち1つは卒業までに合格しようと3年〜4年の頃に決め、国試と並行して勉強をはじめました。
国試もUSMLEも、演習問題で徹底的に自分の知識をアウトプットすることを繰り返す勉強法をとり、医療の専門的な単語や言い回しは問題を解く中でできるだけ効率的に吸収しました。そして、USMLEのひとつ目の試験は、目標通り在学中に無事に合格。現在は、2つ目の試験に向けて、目下勉強中です。
試験以外にもやるべきことがあるという気づき
学生の時はUSMLEに合格することしか頭にありませんでしたが、実際には試験の合格以外にも準備することも多く、計画的に段階を踏む必要があります。そういうプロセスとやるべきことが明確に見えてきたのは、5年で履修した「USMLE受験準備コース」を受講したおかげです。
この講義は、海外で働いている医師を講師に迎えて、これまでのキャリアやアメリカで医師として働くまでのプロセス、必要な心構えなどをざっくばらんにお聞きできる貴重な機会でした。
コネクションが重要であることもこの講義の中で知り、渡米している医師を紹介してもらって会いに行ったり、沖縄の海軍病院で研修をする道があることを知り見学させていただいたり、人の力をお借りしながらやるべきステップを一つひとつやっているところです。
アメリカの病院とのマッチングの可能性が最も高いのは、大学を卒業して5年以内と言われているので、日本で研修医を終えるまでに試験に合格し、その後アメリカの研修プログラムに1年間参加したいと考えています。
海外の厳しさを知ったことで入った学びのギア
日本では、就職後に希望の診療科を選ぶことができますが、海外では成績順で決まることが多く、とてもシビアな競争社会であることもUSMLEの講義の中で知りました。
そのような厳しいフィールドに身を置くことを在学中に視野に入れたことで本気度が上がり、どんなことでも吸収してやろう、普遍的な技術をできる限り磨こう、と学ぶ姿勢が変わったのは確実だと思います。
USMLEの講義や海外臨床実習など、海外志向の学生にとってプラスになるようなカリキュラムを大学が用意してくれていたのは、ありがたいことだったと今あらためて思います。国試を意識して詰め込み教育になるのではなく、個人のやりたいことを尊重し、考える余地を与えてくれるような教育方針だったからこそ、将来の夢を追いかけながら懸命に勉強をすることができました。
のびのびとした環境でありながら国試の合格率が良いというのも、東京医科大学の学びやすさを象徴している気がします。研修医として忙しい毎日ですが、挑戦し続ける勇気と謙虚な気持ちを忘れることなく、努力を重ねていきたいと思っています。