私が学びたいことがここにある

2年生

「研究」の可能性に惹かれて扉を開いたら、知らなかった楽しさと新たな目標をみつけた。

国も超えて人の役に立てる職に憧れて

幼少の頃から、漠然と人のためになる、人に関わる職に就きたいと思っていました。そして、高校2年の頃に何気なく見ていたテレビ番組で目にしたのが、「国境なき医師団」。世界中の困っている人たちのために働き、医療援助のみならず、衛生支援や栄養支援など、様々な分野で人々を助ける彼らの活動を初めて知って衝撃を受け、同時に憧れを抱くようになりました。現実的に目指そうと思えたのは、遠方に住む祖父が開業医で、医師という職業が身近だったこともあると思います。

進学先の候補はいくつかありましたが、受験生用の冊子やWEBサイトで情報を得る中で、東京医科大学の「自由の学び系科目」を知りました。もともと臨床とは異なる医学の探究方法として、研究はとても興味がある分野だったので、大学から研究に挑戦できる「リサーチコース」が魅力的に感じていましたし、「国境なき医師団」のような活動に参加するときにはハイレベルな手技を身につけていることがプラスになると考えていたので、学生のうちに手術の手技を学ぶことができる「Road to Top Surgeon」も魅力的に感じていました。

多くの人を救える研究の可能性を肌で感じたい

中高生の頃から「こうなんじゃないか」と考察するのが好きだったので、研究には興味がありました。また、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授のiPS細胞作製技術を知って、「国境なき医師団」とは少し異なる方向ですが、多くの人を救うことができる大きな可能性があるという点に心惹かれました。そして、入学後すぐにリサーチコースの説明会に参加し、そこで最も気になった分子病理学の研究室に早速アプローチました。

先生のアドバイスで現在取り組んでいるのは、進行性の肝臓病であるMASH疾患の細胞変異について。肝臓の細胞が膨らむという特徴に着目し、そのメカニズムを解明するという研究をしています。最初は、どのように進めたらよいのか全くわかりませんでしたが、先生に研究の流れやスケジューリング、器具の使い方や薬品の名前や役割まで、手取り足取り指導していただき、徐々に1人でも実験ができるようになりました。研究は一連の流れも実験の内容も、全てに意味があります。だからこそ、ただ手順を覚えるだけなく、自分の中に浮かんだ「なぜ?」を逃さずに積極的に先生に質問することで、研究への理解を深めています。

実験で育まれた想像力と線としての見方

研究は、原始的で地道な作業の積み重ね。細胞を育てるプロセスは生き物を扱っているのと同じことなので、研究室にも1日ごとに足を運び、常に環境と細胞の状態を確認する必要があります。少しでもサボれば、そこまで積み上げてきたものが水の泡。作業自体はシンプルでも、いかにコツコツと正確に積み重ねていけるかが、その先の成果を左右すると言っても過言ではありません。最初は失敗ばかりでしたが、そのおかげでできるようになったことが多くあります。そう考えると、低学年のうちに研究に挑戦できてよかったと思っています。

実験は、ひたすらに同じ作業を繰り返します。飽きてしまいそうですが、細胞に起こっている反応を想像しながらやっていると、それすらも楽しくて仕方がありません。それに研究をしていることで、講義で聞く薬剤の投与した後に身体に起こる様々な反応なども、一連の繋がりのあるプロセスとしてイメージできるようになりました。そういう見方ができるようになったのは、ひとつの成長かもしれません。これから1年くらいをかけて自分で決めた研究テーマに向き合い、論文発表をするのが今の目標です。