医療過疎地域を支える総合診療医を目指して、「地域医療リーダーズコース」を迷わず履修した。

実体験で身近になった地域の「医師不足」
医療に興味を持ったのは、小学6年生の頃。茨城の中でも街から離れた地域に住む祖母が腸閉塞で救急車を呼んだときに、近くの病院では受け入れてもらえず、遠方まで搬送されましたその時、初めて「医師不足」という社会問題を身近に感じました。それまでは、体調の異変が起こったら病院に行けば助けてもらえると思っていましたが、近くに医師がいなければ診てもらうことも難しいと知って、そのような地域でも安心して暮らせるような医療環境をつくりたい、医師として地域の役に立ちたいと思うようになりました。
医師になるなら地元の茨城で、と考えていたので、大学はあえて環境が異なる都心がよいと思っていました。そして、100年以上の歴史があることと、体系的に学べる充実したカリキュラムや視野を広げられそうな学びのコースに心惹かれ、東京医科大学を志望しました。10代から一緒に医師を目指していた姉が先に同校に通っていたので、指導の手厚さや環境の良さを聞いていたことも学校選びのポイントになりました。
実際に訪れ見ることで理解できることがある
1年次から、自由な学び系科目の「地域医療リーダーズコース」を履修しています。これは、地域医療についての講義や地域の病院を見学することによって、地域医療の現状や課題について理解を深めるというもの。在学中に自分の視野を広げたいという気持ちがあったので、低学年から見学の機会があることにも大きな魅力を感じました。

医師が少ないことや病院までのアクセスが悪い地域があることは、見学に行く前のリサーチでわかっていても、その理解はあくまでデータ上のもの。実際に地域の病院を訪れ、自分の目で見ることによって、その問題が患者さんに与える影響や、地方と都会の診療の違い、地域ならではの課題をより具体的にイメージできるようになりました。ここ3年間、毎年同じ地域中核病院で見学させてもらうことで、院内の連携体制が改善されていることや、複数の病院がネットワークを張って連携体制を組んでいることなど、わずか数年の進化も目の当たりにして、地域医療がよりよくなっていく兆しを感じています。
在学中に医師以外の専門職に学び視点を広げる
地域病院の見学は、あえて看護師や理学療法士の後ろをついて回らせていただいています。というのも、医師以外の職種の仕事を間近で見て、心地よい連携の仕方や患者さんへの接し方を学ぶことができるのは学生の特権です。いろいろな視点で医療の現場を見学することで、患者さんとの関わり方や会話術、院内連携の仕方など、現場でのコミュニケーションを実践的に学ぶことができる良さもあります。これまでは地域中核病院を見学していましたが、来年は山に近いエリアの病院にアプローチして、街とは異なる環境や診療現場を見て学ぶ予定です。

医学の授業はどれも興味深く、年々学びを重ねるほどに疾患の奥に隠れた原因などが見えてくるところにも楽しさを感じています。また、倫理医学や社会学、哲学の授業では、さまざまな立場や考え方を知ることで、医師に必要不可欠な想像力の助けになります。将来的には、患者さんを取り巻く環境も考慮しながら診ることができる「総合診療医」を目指しているので、知識を身につけるだけでなく実習などを通じて、より多角的で豊かな視点を培っていきたいです。





