私が学びたいことがここにある

ロボット手術体験で直感的な操作性に驚き、手技を磨き続ける必要性も強く感じた。

懸命に働く身近な医師たちに感化され

医師を目指したのは、高校3年生の頃。興味がある分野がいくつかあったので、高校2年までは最終的な進路を決定できずにいましたが、長年医師として地域の人を診続けてきた祖父や、大学病院で臨床と研究に従事する両親の姿を側で見てきたので、やりがいのある職業として医師が最もリアルに想像しやすく、将来の道として考えるようになりました。
また、祖父は晩年、人工透析をしていたのですが、透析後は体力を使うのでぐったり横になっているのを目にしていました。元気を取り戻すための治療でも、辛さや倦怠感が拭えないのはなぜだろう、どうにかできないものか、と疑問を抱いたことも、医学を意識し興味を持ったきっかけのひとつです。
東京医科大学は、祖父と両親の母校でもあります。父が剣道部で、子どもの頃に何度かキャンパスを訪れたこともあったので、身近に感じている学校でした。両親は今でも大学の同級生と仲が良く、その関係は今でも続いています。そういう一生の友人と出会える大学であることも間接的に感じていたので、自然と東京医科大学を目指しました。実際、今はクラスメイトや部活動のメンバーなど良い仲間に出会うことができ、大学生活を楽しんでいます。

在学中に知識も手技も可能な限り学びたい

現在、自由の学び系科目の「Road to Top Surgeon」を履修しています。これは、手術の手技について学ぶことができる科目。授業の中で知識として手術の映像などを見ることはあっても、実技としてじっくり縫合を学んだり、最新のロボット手術の操作を見たりする機会は、この科目以外にはなかなかありません。将来どの科を目指すにしても、内科と外科の両方の知識を深めておきたいと思ったこと、そして、この科目を履修しておくことで、5年生でより多くの手技を学ぶことができる点も、この挑戦への後押しとなりました。

実技では生徒2人に対して先生が1人つくので、じっくりと見てアドバイスをしてもらうことができます。難しさも感じますが、うまくできない悔しさがもっと上手くなりたいという気持ちに代わり、練習キットに向かう時間はあっという間です。
そして、最も衝撃を受けたのは、ロボット手術体験。操作も難しいイメージがありましたが、実際に触らせてもらうと、自分の手を動かしているみたいに直感的な感覚で驚きました。細かい作業はロボットの方が長けていますが、人の手でないとできないことがあると知り、手技を磨いておく必要性も強く感じました。

ダヴィンチ手術の様子

求めれば研究や学会発表の扉も開かれる

現在は、自主的に研究室にも所属しています。初めて研究に挑戦したのは2年生の頃。病態生理を専門とする先生にコンタクトを取って、筋肉に関する研究をしていましたが、「視野を広げるために、他の研究室も見た方がいい」とアドバイスをもらい、3年生からは解剖学の研究室に入っています。1年にわたり、学年を超えた4人ほどのチームで取り組んでいたのは、神経走行の異常についての研究。その成果を先生にも評価していただき、今年の春には学会で発表する機会をいただきました。学生でも研究に挑戦できたり発表の機会をもらえたりと、伸び伸びと学べる環境があることは、夢へのモチベーションに繋がっています。

今、臨床の科目がひと通り終わって、2周目に入るところです。手技を習ったり研究をしたりと、いろいろな角度から身体や病気を知ることで、「点」としての知識が「線」で結ばれ、立体的に見えてくるおもしろさを感じています。進みたい分野はまだ絞り切れていませんが、臨床と研究の両方に携わりながら、いずれは専門性を持ったスペシャリストになりたいと思っています。