思い切って参加した海外留学。 看護師として大切にしたいことに気づけた。
好奇心掻き立てられチャレンジした初の海外留学
大学からのメールで、看護を対象とした海外研修があることを知ったのは2年生の時。行ったことのないアメリカへの好奇心や憧れもあり、この短期留学に興味を持ちました。
この研修では、シアトルの医療現場を見ることができるだけでなく、アメリカの文化にも触れることができるというプログラム。英語が話せなくても挑戦できるという寛容さにも背中を押され、3年生の春休みに思い切ってチャレンジすることにしました。
研修期間中、平日はワシントン大学のキャンパスに通い、15時くらいまでは英語のレッスンや看護学部の授業を受けたり、現地で活躍している日本人ナースのお話をお聞きしたり。
また、総合病院で病棟見学をさせていただいて、通訳の方を通じて質問をすることもできました。この研修自体は1年生から参加できるものでしたが、私が留学したのは長い病院実習で日本の医療現場を見た後。
日本とアメリカの比較がしやすく、現場でのいろいろな動きも理解した上で海外の現場を見ることができたタイミングで参加できて、よかったと思っています。
アメリカで目にしたものを明日へのアイデアに
アメリカの病院では、設備も看護のやり方も日本とは異なるところが多くありました。
特に印象に残っているのは、小児病棟。アメリカでは親も一緒に泊まることができる部屋があり、当たり前のようにご家族が子どもに付き添って宿泊していました。
東京医科大学病院の小児病棟は、家族が泊まりがけで付き添える部屋がほとんどなく、夕方になると親御さんとの別れが寂しくて泣いてしまう子をたくさん目にしてきました。子どもの安心感や精神状態を考えると、アメリカのように一緒に泊まることができる環境があったら、そういう部屋を設けることができたらいいなと思いました。
もう一つ参考にしたいと思ったのは、病室のホワイトボード。患者さんの1日の計画などが書かれているのですが、不安に思うことや直接言いにくいことをカジュアルに記入できる欄が用意されているのがいいなと思いました。
日本でもナースコールで呼ぶまでもないけど伝えたいことがあったり、ちょっとした不安を抱えていたりする患者さんはいると思うので、これを参考にしながらツールを考えられたらいいなと思っています。
世界の多様さに触れ、次の課題が見つかった
シアトルの街を歩く中で、足が切断されているホームレスの方を多く目にしました。
これは、体の異常を感じても病院にかかることができず、重症化するまで放置せざるを得なかったことを物語っています。お金がなければ病院で診てもらうことも叶わない国、それがアメリカです。
それに比べて、日本は医療制度が充実していて、気軽に病院にかかることができます。異文化に触れたことで、当たり前すぎて意識していなかった日本の恵まれた環境を再確認することができました。
アメリカで関わった人たちは、考え方も価値観も生活の仕方も日本人とは違っていて、驚きや気づきが多くありました。
しかし、あらためて考えてみれば、日本人であっても考え方や経験はいろいろです。これから病院で関わる患者さんも一人ひとりちがう背景を持っているので、個別性のある関わりやケアができる看護師になるために、もっと広い視野を持ちたいと思いました。
そして、患者さんとも一人ひとりに向き合い、きちんとコミュニケーションを取るために、得意ではなかった英語も勉強を続けたいですし、中国語や手話も身につけられたらと思っています。